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東大卒の新卒2年目IT系コンサルタントが、フリージャンルで記事を更新します!!!!

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本気を出せば手段は選ばない話

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このテストを落とすと入学1年目にしていきなり留年も見えかねない、そんな大事な英語のテストの日にある男はスヤスヤと寝ていた。

時計の針は9:36を指している。

男は目覚める。

男は愕然とした。テスト開始まであと4分。

目覚ましはかかっていなかった。

 

本当に焦ったときに何をするかはわからないもので、とりあえず部屋を一周ぐるっと回る。

もう一度時計を見る。

しかし9:37、ヤバイ。

家を飛び出し最寄り駅まで向かう。

最寄り駅まで徒歩3分の物件であった。

テストは30分までの遅刻に限り入場は許される。

家から大学まではドアtoドアで20分くらいだった。

勝った。

 

パンツとシャツで寝ていた男は、そこら辺に落ちてあるジャージの長ズボンを履き、コンタクトをつけずにメガネをかけ、クロックスで飛び出す。

 

9:40ごろ駅に着く。

風が強い。どうやら台風が来ているらしい。

流行り始めたばかりのスマホを見る。

当時としては最先端のauのスマートフォン。

メールが2件。父と母である。

 

「東京は風が強いらしいな、大学頑張ってるか?」

「ちゃんとご飯食べてる?あんまり無理したらダメだよ」

 

こんな日に限って優しい労いの言葉。

でもね、父さん母さん、今それどころじゃないんだ、そっと携帯をポケットにしまう。

 

9:46に電車が来るらしい。隣の明大前駅で乗り換えて鬼のように混んでいる井の頭線に乗らねばならなかった。

 

9:46。電車が来る。

しかし目の前で電車の扉が開いているというのに、寝起きから実に10分、気が動転していたせいだろうか、電車が来たということを認識できなかった。

 

電車は男を乗せないまま走り始めた。電車が動き出した途端に、自分が乗らねばならぬ電車だったということに男は気づいた。

 

男は寝ぼけて素手で電車を止めにかかろうとするが、この辺りで自分がとてつもなく危険な行為を行おうとしていること、そして乗るべき電車に「なぜか」乗り遅れたことに気づく。

 

男は走る。普段あまり運動しない体に鞭を打つが、200mで失速する。

 

隣の駅まで徒歩15分弱。

走っても間に合わないということに気づく。

 

何としても隣駅まで行かねばならない。タクシーは近くにいない。

 

男は全力で走った。なんとか中間地点までたどり着いたが、行く手を踏切に阻まれた。泣きそうになる。急いでいる時の踏切待ちほどムカつくものはなかった。

 

京王線は小田急線ほど開かずの踏切というわけではないのだけれど、それでも数台の車が踏切が開くのを待っている。

 

男は絶望感を噛み締めた。

タクシーはいない。体力も限界に近い。そして踏切が閉まっていて前進することすら阻まれている。

 

しかしここで、突拍子もない考えが頭に浮かんだ。

車が踏切待ちだか、なんとか乗せてもらうには今しかない、そう考えた。

 

3台とまっている車の運転席を横目で覗き込み、優しそうなおじいちゃんとおばあちゃんを発見した。

 

「あの〜」

 

「今日とっても大事なテストがあって、でも寝坊してしまって、、、」

 

 「恐縮ですが、、隣駅まで乗せていただけませんか、、、??」

 

意外にいい人も多い世の中だった。

 

男は東京でヒッチハイクをやり遂げた。 

 

車は甲州街道を走り、隣駅で降ろしてもらう。しかも、テストの応援付きで。

 

そして9:55ごろの井の頭線に乗ることができた。降車駅までは約7分。なんとか間に合いそうだ。

 

降車駅の改札と大学の敷地は繋がっている。男は降車駅の改札をくぐると全力

 

そして10時06分にテスト会場に入る。

男は思った、、間に合った。

 

 

テストは10時開始だった。

ヒッチハイクする必要は全くなかった。

 

でも、男には満足感があった。

 

 

終わり。